Clausa Scholae-プロローグ-
--無邪気さが純粋な幸福となる。--
Arvel,inc. 社是 第2項 3章
彼らは日々、考えていた。
もっと自由に遊べる場所はないのか。
もっと自由に眠れる場所はないのか。
もっと自由に過ごせる場所はないのか。
世界は広くて狭い
時間は長くて早い
学校という世界に縛られる
義務という時間に縛られる
そんな当たり前のことが、彼らにとっては、不幸そのものであった。
そんな時、とある神が微笑んだ。
『君たちを縛る狭い世界
早い時間
そして不幸...
だがそれは、他人がいるからに他ならない。
他人がいない世界
自分だけの世界
愛する者だけの世界
そんな世界を、欲したくはないか?
自分たちだけがいる空間、学校
他人がいて当たり前の世界に、君たちだけの世界を欲したくはないか?
望め。我が子達よ。』
彼らは望んだ。
彼らだけの世界
彼らだけで生きられる世界
他人のいない、彼らだけの学校という舞台を。
『願いは聞き入れた。後は自由だ。』
目が覚めた3人
彼らの学校から人が消えた。
「かんぱ~い!」
静かな教室に響く3人の声
目の前でジュースを飲む二人を僕は眺めていた。
「でもすごい...本当に私達だけの学校なんだね...!」
「信じられない...でも、すごくうれしい!だって、ユズル君とハルと3人で住めるから!」
「僕もすごくうれしいよ...楽しく生きていこう!」
幸せとは、まさにこういうことだ。
人は、不幸な時に幸せについてを問う。
だけど、実際に幸せになれば、そんなこと考えもしない。
やっぱり人は、幸せであることが大事なんだ...
「どんな生活をしたいかなぁ」
「寝たりするのは、この教室でいいかもね!」
「シャワーもあるし...食堂もあるし!なんでもできるね!」
「本当!学校って嫌いだったけど、こうなると楽しいね!」
しばらくおしゃべりをして、僕が提案した。
「そうだ。ベッドつくろう!」
「ベッド!作る!」
「保健室から布団を持ってきてさ。机で囲んで秘密基地にしよう!」
「さんせい!作ろう作ろう!」
僕らの行動は早かった。
なにしろ、今は何をするにしても楽しみがある。
保健室から布団を拝借し、教室にあった机を集める。
不思議と、モノを運ぶにしても軽く感じる。
モノが軽いわけではないから...僕らの筋力でも上がったのかな。
「よし!こんなものかな!」
「すごーい!秘密基地だね!」
「こんな感じのことやってみたかった!」
「よかった!よし、日も暮れてきたし、今日は寝ようか!」
「うん!」
「3人で寝よ!」
夢にまで見た、3人で眠るということ...
「おぉ...すごいね」
「えへへ~、うれしい♡」
「幸せだね...♡」
「うん...幸せだ...」